経営と戦略と戦略コンサル

経営と戦略と戦略コンサル

クライアント討議用資料の工夫:社内で使えるスライドを意識する

クライアントとの討議資料を作成するとき、私たちは「何を伝えるべきか」を考えます。特に提案フェーズの前段階では、市場環境の概況や競争環境の整理など、クライアントの理解を助ける情報をまとめることが一般的です。しかし、ここで一歩進んで「クライア…

エーザイのエコナビスタ 買収

エーザイ株式会社は2025年3月14日、エコナビスタ株式会社に対する株式公開買付け(TOB)を開始すると発表しました。 エーザイは、エコナビスタの全株式を1株あたり2,190円で取得することを目指しており、買収総額は約160億円となる見通しです。 エコナビスタ…

調剤薬局の集約

近年、日本の調剤薬局業界では、業界再編と集約化が進行しています。特に、アインホールディングス(アインHD)が新潟県の調剤薬局チェーンを買収したことは、M&A戦略の加速を示す象徴的な事例です。 このような集約化の背景には、少子高齢化による医療費の…

議論では答えを投げかけるのではなく、論点を投げかける

ビジネスの場において、議論の進め方が成果を大きく左右することは言うまでもありません。その中でも、「答えを投げかける」のではなく、「論点を投げかける」ことの重要性を理解し、実践できるかどうかが、優れたリーダーや戦略家の資質を分けるポイントと…

米国国際開発庁(USAID)の職員約1,600人

2025年2月、トランプ政権は米国国際開発庁(USAID)の職員約1,600人を削減し、必要不可欠な業務を担う職員を除く大半の職員を休職とする決定を下しました。 この動きは、政府効率化省(Department of Government Efficiency、略称DOGE)を率いる実業家イーロ…

第一生命によるベネフィットワンの買収

2024年のヘルスケア業界における最大のM&Aニュースといえば、ベネフィット・ワンの第一生命による買収が挙げられます。この取引は業界内外で大きな注目を集めました。では、なぜパソナグループはベネフィット・ワンを売却し、第一生命はこれを買収したのでし…

トランプ 関税で日本も ターゲットか

2025年、トランプ大統領は相互関税の導入を検討しており、日本もその対象国の一つとされています。 しかし、現時点で日本が直接的な関税措置の標的となっていない背景には、いくつかの要因が考えられます。 1. 日本との経済的・安全保障的関係の重要性 日本…

業界を理解する力の重要性

コンサルタントにとって、業界を深く理解する力は欠かせません。理解しているのか、していないのかを自分自身で正確に把握できることが、質の高いコンサルティングの第一歩です。なぜなら、クライアントはその業界のエキスパートであり、彼らと対等に議論で…

三菱商事 と NTT の AI 創薬の取り組み

2025年2月17日、三菱商事とNTTを中心とする5社が、AIを活用した創薬の共同実証実験を開始しました。この取り組みは、次世代の高速通信技術「IOWN APN(オールフォトニクスネットワーク)」を活用し、膨大なGPU計算力をリモートで提供することで、新薬開発の…

M&Aリーグテーブルの活用方法

M&A(Mergers and Acquisitions)のリーグテーブルは、各金融機関やアドバイザーの取引実績をランキング化したものであり、グローバルまたは国内市場での取引件数や取引総額を基準に公表されます。一般的に、投資銀行、会計事務所、法律事務所、コンサルティ…

弘前大学の健康 ビッグデータの取り組み

弘前大学は「岩木健康増進プロジェクト」を中心に、健康ビッグデータを活用した先進的な取り組みを行っています。このプロジェクトは2005年に開始され、青森県弘前市の住民を対象に、約3000項目に及ぶ健康データを収集・解析しています。 ### [主な取り組み…

ビジネスの単位は10年——短期ではなく長期でキャリアを考えるべき理由

コンサルティング業界に限らず、どんなビジネスにおいても、本当に価値のあるキャリアを築くには10年単位の視点が必要だ。 例えば、新卒でコンサルティングファームに入社してからパートナーになるまで、通常10年以上かかる。専門性を確立し、「この人はこの…

クライアントのニーズが曖昧なのは、こちらのヒアリング能力の問題だ

クライアントに提案を持っていく際、「結局、何を求められているのかわからない」「クライアント自身も課題を整理できていない」と感じたことはないだろうか? このような状況に陥ると、「クライアントの要望が曖昧だから仕方がない」と考えがちだ。しかし、…

キトーと荷揚げのロールアップ

荷揚げ機業界のリーディングカンパニーであるキトーは、競合の少ないニッチな市場において、ブランド力と品質の高さを強みとしています。 しかし、国内市場の成熟化に伴い、成長の鈍化が懸念されています。この課題に対処するため、キトーは積極的な海外展開…

個人同意不要の医療データ活用が切り開くイノベーションの未来

医療分野におけるデジタルトランスフォーメーションは、今後ますます加速することが予想されます。仮に医療データの利用時に個人ごとの同意取得が不要となれば、膨大なデータを迅速かつ包括的に活用でき、これまで想像を絶する革新が現実のものとなる可能性…

日本における低分子創薬の将来

日本における低分子創薬の今後の展望は、以下のような要因によって形成されると考えられます。 成長の見込み 1. **市場規模の成長** - 世界的な低分子創薬市場は、2023年から2031年にかけて年平均成長率(CAGR)9.7%で成長が予測されており、日本もこの成長…

低分子創薬の研究者と言っても色々な職種があると思います。どの職種にどの程度の研究者がいますか?それが今後どのように増えていきますか?減っていきますか?

低分子創薬の研究者には、様々な職種が存在し、それぞれの分野で重要な役割を果たしています。主な職種とその傾向について以下にまとめます。 主な職種と現状 1. **メディシナルケミスト(創薬化学者)** - 新規化合物の設計と合成を担当 - 大手製薬企業やバ…

低分子創薬の研究者はどこに在籍することになるのか?大手の製薬メーカー、創薬CRO、バイオベンチャー、その他にもどこにどれくらい在籍しそうか?

低分子創薬の研究者は、主に以下の組織に在籍することが予想されます: 大手製薬メーカー 大手製薬メーカーは依然として低分子創薬の重要な拠点です。 - 2020年時点で、上位25社のバイオ製薬企業が業界全体の雇用の51%を占めています。- 小分子セグメントは…

低分子の創薬の研究者は今後増えるか?減るか?

低分子創薬の研究者は今後増加する可能性が高いと考えられます。この見解は以下の要因に基づいています: 市場の成長と需要の増加 低分子創薬市場は急速に拡大しており、今後も成長が見込まれています。 - 2023年の市場規模は約400〜570億ドルと推定され、20…

戦略コンサルとして考えさせられた1日:夢を描くことの意味

コンサルタントとしての仕事は、クライアントの課題を整理し、最適な解決策を提示することだ。だが、それだけでは「そこそこの仕事」で終わってしまう。クライアントが求めるものだけを提供していると、どこかで価格競争に巻き込まれ、差別化が難しくなる。 …

東証改革とROE向上:社会への影響を考える

近年、東京証券取引所(東証)の改革を背景に、ROE(自己資本利益率)の向上を目指した企業行動が活発化しています。特に、自社株買いや非上場化といった動きが増えており、これらの施策が社会全体にどのような影響を与えているのかが注目されています。 自…

ROICとM&Aの関係性:経営判断における重要な役割とは

M&A(合併・買収)は企業の成長戦略として広く活用される手法ですが、成功には慎重な評価と適切な意思決定が求められます。その中で、ROIC(投下資本利益率)は、M&Aの成否を測る重要な指標として注目されています。この記事では、ROICとM&Aの関係性について…

ROICを計算する際に、SCMなどの売上を持たない部門・機能をどう扱うか?

ROIC(投下資本利益率)は、投下した資本に対してどれだけ効率的に利益を生み出しているかを測る指標として、多くの企業で導入されています。しかし、SCM(サプライチェーンマネジメント)やIT、バックオフィス部門など、直接的な売上を生み出さない部門・機…

製薬メーカーにおけるROIC導入の価値:新薬パイプラインがない状況でも意味があるのか?

製薬業界では、新薬パイプラインの有無が企業の成長を左右することは誰もが認める事実です。しかし、「ROICを導入しても、新薬パイプラインがなければ本質的な成長は難しい」という反論があるのも事実です。それでもなお、ROICを導入する意義があるのはなぜ…

製薬メーカーがROICを導入するとしたら、どのように活用するのが効果的ですか?

製薬業界は、研究開発に多額の資金を投じ、長期間を経て新薬を上市するという独特のビジネスモデルを持っています。そのため、投資効率を測る指標としてROIC(投下資本利益率)は極めて重要です。本記事では、製薬メーカーがROICを導入する際にどのように活…

なぜROICなど複雑な指標を考えなくてはならないのか?シンプルに売上や利益を伸ばすだけではいけないのか?

ビジネスの成功を測る基準として、多くの人が「売上を伸ばすこと」「利益を増やすこと」に目を向けます。一見すると非常にシンプルで、分かりやすい目標です。しかし、これだけでは十分でない理由があり、だからこそROIC(投下資本利益率)やその他の複雑な…

ROE、ROIC、EVA、ROAなどの指標は何が違うのか?使い分け方はあるのか?

企業の財務状況や経営効率を評価するための指標として、ROE、ROIC、EVA、ROAなどが頻繁に使用されます。それぞれの指標は目的や視点が異なり、使い分けが重要です。本記事では、各指標の違いと適切な使い分け方について解説します。 ROE(Return on Equity:…

グーグルの量子計算チップ開発:ヘルスケアの未来をどう変えるか

量子計算機の進化が新たなフェーズに突入しています。日本経済新聞の記事によれば、グーグルは次世代量子計算チップの開発に成功しました。この技術進化は、膨大なデータを瞬時に解析し、従来のコンピュータでは不可能だった課題を解決するポテンシャルを持…

なぜアメリカ企業は中期経営計画を発表しないのか?

日本企業の多くが中期経営計画(Mid-term Business Plan)を発表しているのに対し、アメリカ企業ではこのような計画の公表はあまり一般的ではありません。興味深いのは、アメリカの投資家は日本以上に企業に対して厳しい情報公開を求めている印象があるにも…

コンサルティングファームや法律事務所のパートナー制に見る独特なガバナンスの仕組み

一般企業のガバナンスは、株主を頂点とし、取締役会や経営陣が戦略や意思決定を担う構造で成り立っています。一方で、コンサルティングファームや法律事務所におけるパートナー制は、この仕組みとは異なるガバナンス形態を持っています。これらの組織では、…